~Appleの軌跡~

基本情報

  • 会社名: Apple Inc.
  • ティッカーシンボル: AAPL
  • 設立年月日: 1976年4月1日
  • 本社所在地:カリフォルニア州クパチーノ
  • 事業内容: Appleは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット、ウェアラブル、アクセサリーなどの設計、製造、販売を行っています。また、iTunes Store、App Storeなどを通じてデジタルコンテンツとアプリケーションの販売と配信を行っています。
  • 時価総額: 2024年7月時点での時価総額は約2.45兆ドル
  • 従業員数: 2023年度末時点での全従業員数は約14万7,000人

売り上げの内訳

iPhone50%
Mac約10%
iPad約10%
ウェアラブル、ホーム、アクセサリー約10%
サービス約20%

Appleの軌跡

【創設】

始まりは1970年代初頭、ヒューレット・パッカードでの夏季インターンシップで、二人の若者が出会うことになる。

一人は「スティーブ・ジョブズ」、ジョブズは先見性とカリスマ性があり、創造的で革新的なリーダーの素質があった。

もう一人は「スティーブ・ウォズニアック」、ウォズニアックは生まれながらの天才的なエンジニアであった。

1976年、二人はジョブズの両親のガレージで「Apple Computer」という会社を設立した。

彼らが生み出した最初の製品である「Apple I」は、シングルボードにすべてのコンポーネントを搭載し、キーボードもディスプレイもなく、基盤剥き出しの状態で販売するという現代の製品からは考えられないほど、シンプルで斬新なパーソナルコンピュータだった。

そのためユーザーは自分で基盤ケースやキーボードなどの外部部品を用意して組み立てる必要があった。

メモリ容量は標準装備で4KB、ストレージはカセットテープを使用するというものだった。当時の価格は666.66ドル。

この666.66ドルという価格は当時のパソコンとしては、非常に安価で手が出しやすいものであり、その革新的な設計とアクセスしやすい価格は、コンピューターの普及を促進し、今日のコンピューター技術の発展に大きく寄与した。

そして、二人の処女作の最初の買い手となったのは、地元のコンピューターショップのポール・テレルという男だった。

彼は二人が持ち込んだ「Apple I」という名の精密な板を50台買ってくれた。

そして、二人のスティーブによるこのガレージでの日々は、後にシリコンバレーの象徴となる伝説の序章となった。


【Apple IIと成功の始まり】

1977年、Apple Iの成功を受けて「Apple II」が発表されると、それは瞬く間に大ヒットを収めた。

Apple Iは手作りの基板のみが販売されていたのに対し、Apple IIは完成品として販売され、カラーディスプレイと大きな拡張性を備えたこのコンピューターは、家庭用だけでなく、学校や中小企業など幅広い市場をターゲットに販売された。

Apple II の登場によってAppleの名は急速に広まり、会社は急成長していき、ついには「シリコンバレーの新星」と騒がれるまでになった。


【失敗と挫折】

しかし、素晴らしい成功の裏にはもちろん困難も待ち受けていた。

同社は1983年、「Apple Lisa」を発売した。

今では普通になっているアイコン、ウィンドウ、マウスなどを使って操作するGUIを初めて実現したApple Lisaは、直感的で視覚的な操作が可能となった。

これによってコンピュータは操作性を飛躍的に向上させ、更なる進化を見せた。

だが、一見素晴らしいものに見えるApple Lisaには、いくつか問題があった。

その一つは、速度と安定性が悪かったこと。だが、一番の問題は価格だった。

当時の10,000ドルという価格は、とても高価で庶民に手が出るような代物ではなかった。

案の定Apple Lisaは世の中に受け入れられることは無く、ジョブズ渾身の一作は失敗という形で幕を閉じた。

他にも、1985年にはジョブズが自身の創業した会社を追われるという衝撃的な事態が起きた。

ジョブズには先見の明があり、他に類の見ない独創的な経営スタイルで世界に感動とサプライズを与え続けていた。

しかし、それは同時に社内の人間が、彼の自由奔放で自己中心的な言動の被害者になることを意味していた。

その天才が故の身勝手とも取れる振舞いは、一般社員は元よりAppleの経営陣にまで、「この男に任せていていいのか」という恐怖の感情を与える結果となってしまった。

恐怖を感じた経営陣に選択の余地はなく、彼らは会社のために会社を作った男を追放することにした。

そして、言うまでもないがこの判断によって、同社は大きな痛手を受けることとなる。


【新たな希望、Macintosh( マッキントッシュ)の登場】

時は戻り1984年、Macintoshが発表された。

今でいう「Mac」である。

「Apple Lisa」の失敗を受けて開発されたMacintoshは、一歩ずつではあるがユーザーへと歩み寄っていた。

Apple Lisaから受け継がれたグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)はさらに改良され、デザインと使いやすさを絶賛され一世を風靡した。

初代MacintoshのGUIは、後にパーソナルコンピュータのスタンダードとなり、Microsoft Windowsを含む他の多くのオペレーティングシステム(OS)に影響を与える事となった。


【ジョブズの復帰とAppleの復活】

時は経ち1996年、アメリカが急速な経済成長を見せる中、Appleにはかつての輝かしい面影はなく、それどころか経営を続けることすら困難な状況に陥っていた。

全員が諦めかけていたその時、ジョブズのAppleへの復帰が決まった。

彼が同社から追放された後に設立した会社を、Appleに売却する形で戻ってきたのだ。

彼は復帰後すぐにAppleの再編成を行い、その天才的な頭脳で斬新な製品戦略をどんどん打ち立てていった。

1998年、彼の指揮の元で発表された「iMac」は、当時、複雑で時間のかかっていたインターネットへの接続を、LANケーブルを差し込むだけの簡単な構造へと進化させ、USB1.1ポートの装備により、周辺機器の接続も大幅に簡素化し、業界に驚きを与えた。

また、iMacは、Appleのチーフデザイナーであったジョナサン・アイブによってデザインされた。

Bondi Blueという名の内部の構造が透けて見える透明なプラスチックケースは、従来の灰色やベージュの地味なパソコンのイメージを大きく覆し、後にAppleの復活の象徴となった。


【iPodとデジタル時代の幕開け】

ドットコムバブル崩壊後、間もない2001年。

創始者が戻ってきた新生Appleは、不景気真只中の世界に向けて、さっそく革命を起こした。

それが「iPod」だ。

「iPod」と名付けられたそのデバイスは、5GBのハードドライブを搭載し、1000曲をポケットに収めることができた。

講演で彼が口にした言葉は驚くほどシンプルであった。

1000曲をあなたのポケットに。

そして、そのポケットサイズの小さくて大きな革命は、瞬く間に世界を一変させてしまった。

iTunesなるものと連携し、デジタル音楽のエコシステムを築き上げたことで、 iPodは音楽業界に変革をもたらし、世界中の人々の音楽の聴き方を根本から変えてしまった。


【 iPhoneと世界の変革】

iPod の衝撃的な発表から6年がたった2007年、ジョブズは再び世界を変えた。

iPhoneの登場だ。

それは電話、音楽プレーヤー、インターネット端末を一つにまとめた、まるで作り話のようなデバイスだった。

2007年1月9日に開催されたMacworldでの基調講演にて、彼はこう語った。

今日、我々は、3つの革命的な製品を紹介したい。

1つ目は、タッチコントロール付きのワイドスクリーンを備えたiPod。
2つ目は、革新的な携帯電話。
そして3つ目が、画期的なインターネット通信デバイスだ。
そして、これらは別々の3つのデバイスなどではない。
我々はたった1つのデバイスでこれを実現する事に成功した。

我々はこれを「iPhone」と呼ぶ。

今日この場所で、Appleは電話を再発明する。

ご理解頂けただろうか、そう、それがこの「iPhone」だ。


【ジョブズの死】

2011年10月5日の夕暮れ。

彼は、家族に囲まれながら静かにその生涯を終えようとしていた。

病魔が彼の体を蝕み始めたのは2003年、膵臓に稀な神経内分泌腫瘍が発見されたときだった。

それからの8年間、スティーブは病と闘いながらも、その燃えるような情熱を失うことはなく、技術進歩の最前線を走り続けた。

しかし、彼の意思に反して身体は次第に弱っていった。

彼は死の間際、静かに息をつき、最後の力を振り絞るようにして言った。

これまで歩んできた道のりには、全て意味があった。

そして、これからも人々が夢を見続け、創造し続けることを願っている。

スティーブ・ジョブズは、単なる起業家ではなかった。

彼は、夢を追い求める全ての人々にとっての希望であり、その精神はこれからも無数のイノベーションの種となり続けるだろう。


【Appleの未来】

スティーブ・ジョブズの死後も、Appleは彼のビジョンを受け継ぎ続けている。

iPad、Apple Watch、Air Podsなどの最新技術は、次々と世界に革新をもたらしている。

Appleもまたジョブズ同様、いつの間にか普通のテクノロジー企業ではなくなっていた。

創造と革新の象徴となり、未来への可能性を追求し続けている。

スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックがガレージで始めた小さな夢。

それは、数々の困難を乗り越えながら、世界中の人々の生活を豊かにし、テクノロジーの未来を切り拓いてきた。

Appleの物語は、挑戦と革新、そして絶え間ない進化の物語であり、これからも私たちの想像を超える製品とサービスを提供し続けるだろう。

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